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. | 2009.01 | . | ||
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イラストレーション:火取ユーゴ |
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松月井日 長崎空港にいると長身美人が近づいてきて「松井守男さんですか?」と聞かれた。画家の松井守男は四十年来の親友だからあまり違和感がなく「ちがいますが、お探しですか?」と会話をした。お話によると、ご主人が自家用飛行機で松井を五島列島の空港まで送るので先に行って会っていなさいとのこと。自分は顔を知らないがご主人が「とにかく普通の人とは違うから分かる」と言うので来た。それでおれに話しかけた。おれ普通なんだけどな。それにしてもいかにも九州人らしいおおらかさだ。前の晩に湯煙の立つ温泉でご主人と行き違った時に松井が「パルドン」と言ったことがきっかけで話が弾み今日の段取りになったという。なぜ話が弾んだかというと、その日の昼間に長崎市民会館で国立音楽大学卒業生の会「同調会」主催のコンサートがあり、ご主人は第一部に出演した長崎出身の新卒業生の一人を応援しに行っていた。そのまま第二部のおれの演奏も聴いた。一方、五島列島の久賀島に最近アトリエを構えている松井も同じく会場に聴きに来ていた。そんなこんなで話が弾み「それなら明日自家用機でお送りしましょう」という話になったのだ。松井という男は劇的な出会いばかりする。その翌月、松井は浦上天主堂で個展をやり久賀島へのファンとのツアーをやり、アトリエになっている海のすぐそばの小学校の広場では郷土芸能の久賀つばき音頭とチャンココが演じられ、五島市長の挨拶があり、五島ジャズバンド(GOJA)が素晴らしい演奏を続け、つられておれもエレキピアノでボレロをやるという生涯初の経験をすることになるが、これを詳しく書くとこの連載1年分になりそうだ。 N月Y日 「ニューヨーク・トリオ結成20周年記念「トリプル・キャッツ」ツアー開始。東京ヤクルトホールに始まって、翌日は岩神六平事務所主催で葉山町福祉文化会館。車で相棒二人を会場に送り届けリハまでの間に御用邸前の一色蕎麦「如雪庵」に行く。おれの蕎麦食いの発祥の地だ。終演後のサイン会に玉木正之ご夫妻が現れたので仰天。後にブログでこのツアーで演奏しているフェローンとセシルの曲を取り上げてくれはった。さすがやな(このへん玉木調)。終演後は息子の葉山小学校の同級生がやる蕎麦居酒屋で打ち上げ。葉山在住の編集者国田昌子さんも現れてくれる。席上オバマ当選の話題で「経験がないと言う評論家もいるぞ」と言うとフェローンが「バイ・カルチャーで育った人間に経験が不足しているということはあり得ない」と断言。頼もしいなあ。
「CDジャーナル」2009年1月号掲載 |
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