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. | 2004.01 | . | ||
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. | イラストレーション:火取ユーゴ |
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10月31日。ニューヨーク・トリオ<セシル・マクビー(b)、フェローン・アクラフ(ds)>結成15周年記念ツアー開始。奇しくも全15回の公演となった。第1回目は鎌倉芸術館。隣の葉山町には昔NYトリオで遊びに行ったことがある。その時に歓待してくれた岩神六平氏、黒川博・マリちゃん夫妻など葉山から多数応援に来てくれた。相倉久人氏、玉木正之氏も顔を出してくれる。終わって三人揃ってのサイン会はおかげで大盛況。それから焼鳥屋に行って、まずは再会とスタートの祝いをする。セシルはヨーロッパ・ツアーから駆けつけてくれたが、そのバンドは、デイヴ・リーブマン、ジョー・ロヴァーノ、マイケル・ブレッカーの三人がフロントで吹くという特別ユニットだった。そこで仕入れたのか、早速ジョークを一発かましてくれた。「神様の好きなコードは何だ?」答えは「Gsus」...分かりますよね?。 11月2日。前日の仙波清彦さんとのリハの後、2回目は新宿ピットイン。このまま五連荘に突入となる。終演後、駐車場から車を出しておいてくれたジャーマネG君に領収書をもらって金を渡す。知らない人が見たら、ライブハウスの終演後、ジャーマネに金を取られてぺこぺこしているバンドマンだと思うだろうか。 11月3日、4日。名古屋で第3回、第4回。初日、会場の「ラブリー」の前にタクシーがとまっていてサインを求められる。これぞ名物ジャズ・タクシーだ。リア・ウインドウにアルトサックスを飾り天井もどこもサインだらけ。オーディオも特注。演奏本番は「ヘイケ・キッズ」が終わったところで、最前列の客が「何でこんなに日本のリズムを理解しているんだ!」とわめく。フェローンの勉強勝ちか。客席には筒井康隆ファンクラブの面々多数。大阪のハチの常連も遠征してきている。二日目には、ドクター・ジャズ内田修先生のお出まし。森山威男も来てくれた。ホテルをとって泊まりがけの来訪だ。終演後、隣の居酒屋で飲んで話す。さすがに昔のように朝まで大騒ぎは、お互い無理になってきた。 11月5日。5回目は長野。何とここにもジャズタクシーが出現していた! 主催の長谷川氏の友人で、東京から応援がてら来たのだという。こちらはデコレーションもサインもなし。車体にジャズ・タクシーと書いてあるのとオーディオが特注だ。やはり東西の気質の違いか。長野はNYトリオにも馴染みのところで、打ち上げ場所も「ボスコ」と決まっている。前回、どのワインでも選んでいいと言われて、セシルとフェローンは秘蔵の最高級物件を選び出した。シェフがヒェーと言ったときにはもう遅い。日本人の酒、焼酎好きの感覚だろうか。その時にはファンの女性ソムリエが、演奏曲目全部に合うワインを選んでリストにしてくれたりした。 翌日11月6日。東京へ取って返して、池袋芸術劇場で6回目。ここには歌舞伎の藤舎名生さんが笛で、仙波清彦さんと山田貴之さんが打楽器で加わる。お三人の至芸と出合い頭にぶつかって、ピーヒャラ、ドンドン、スケテンテンと騒いだ。アンコールは全員で「5・7・5(俳句)」をやった。筒井康隆さんをはじめ、村松友視ご夫妻、岸田今日子さん、富士眞奈美さん、吉行和子さんのお三方などなど知人友人親戚多数ご来場。林英哲さんにはリズム・テーマのヒントのお礼を言う。サイン会を急ぐので、皆様とはゆっくり話が出来ず申し訳ない。 11月7日。この日は三重の大安町に前乗りだが、数日前から歯が痛み出したので、急遽早朝歯医者さんに回ることにした。疲れによって浮いた歯を演奏中噛みしめるので、その力で歯が縦に割れたのだと、大谷先生が言う。割れた歯を貼り付けて上から蝶番をするという応急処置で助かった。ツアーが終わったらすぐまた来いと言われるが、これ、よほど痛まないと逃げてしまうのよね。8日、三重大安町・7回目。桑名から山の方へ向かい鈴鹿山脈の麓まで行く。いにしえには京都の隠れ荘園だったともいう優雅な一帯だ。橋渡しをしてくれた樋口さんはうどん文化博士で、この地の音楽博士や淡水魚博士、米油博士などと共に町に働きかけて町制40周年記念祭にNYトリオが登場することができた。本番日の昼間にはログハウスに招かれ、本格的な着物姿の奥方たちに迎えられて、優雅なレセプションをしてもらった。やはり雅風だ。公演は、初めての人や子供も多いというので、途中、一人になって簡単な「ジャズ講座」のコーナーを設けた。打ち上げには元京大ラインバッカーの町長が現れて、同じく元アメフト選手のフェローンと談論風発。音楽博士は地元オケも指導しているが、雅楽の龍笛を聴かせてくれた。これにはびっくり。まったくどの国のどこにどんな人がいるか分からない。(この項続く)。 「CDジャーナル」2004年1月号掲載 |
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