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. | 2002.09 | . | ||
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. | イラストレーション:火取ユーゴ |
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明日の天気をお尻に聞けば、私や空見たことがない。可哀想だよズボンのおなら、右と左に泣き別れ。などと馬鹿なことを言っておりますが、いやあ糞暑い。これが活字になる頃には、いくらかはましになっていてほしいものだ。さて、サッカーW杯の話の続きで、決勝は北海道で見るという予告の続き。 決月勝日 日高地方の三石町で八向山のコンサート。主催はVillage ConcertMasters 幌村さん。ヤヒロ君の紹介で実現。会場は延出小学校の図書館併用のホール。開始が6時でワンセットの公演なので、8時の決勝戦は幌村家で見られるという段取りになっている。ホテルのある隣町の浦河には、25年前に来たことがある。そのときの会場には、制服姿の女子高生や中学生もいたが、あの子達も今は四十女になっているわけだ。人生、はかない。その時にいた人は名乗ってくれと呼びかけると、公演後、ヒッピー風おじさまが挨拶をしてくれた。 音楽をやっている間は、別に決勝戦を見なくてもこのままずっとやっていれば気持ちいいじゃねえか、という気になるのは、やはり職業だからだろう。あの日、あの時間に何をやっていたか、ほとんどの人は言えるのではないか。 サッカーとくればヤヒロ君の独壇場で、もろもろの内輪エピソードを聞きながらテレビの前で待機する。ヤヒロ君は日本にいるセネガル人の音楽家達と兄弟づきあいの関係で、セネガル大使館からの要請で、応援の人々を受け入れる仲立ちをした。ある日の大阪の宿舎はお寺だったが、皆さん、オネエチャンは連れ込むわ、夜通しタイコは叩くわで、大騒ぎ。和尚さんが怒ると、こいつに電話しろと釈明。それでヤヒロ君の携帯に見知らぬ人の怒声が連日響くということになった。いやあ、日セ親善御苦労さまです。 ヤヒロ君のヒイキはブラジルなので、結果はめでたかった。選手の名前が姓ではなく名前、それもニックネームが多いというのいうのは新発見だった。それで思い出したのは、イチローだ。売り出しの時に、アメリカの新聞で「ブリトニーではあるまいし、ファーストネームで出るなんて図々しい」と書かれた。もっともその後に「この活躍なら、ま、許す」という趣旨になる。歯が特徴のロナウジーニョもニックネームだが、あの顔が誰かに似ているという話になった。「軽薄なギター弾きにこういうのがいた」という無責任な決めつけ意見が、ここにはいない某ベーシストから出ていたそうだが誰も思いつかない。翌日になって、ヤヒロ君が発見。昔の「モンタ・アンド・ブラザース」のドラマー、マーティー・ブレイシーだそうだ。皆様、ご納得でしょうか。 翌日、千歳空港駅までの長いドライブは向井氏運転。いくつもの馬の牧場を過ぎる。この辺一帯がサラブレッドの生産地だ。浦河のホテルのドアにも最近のレースで優勝した馬の名前、持ち主が貼り出されていた。そうなれば大儲けらしいが、そこまでの道は大変だ。1年で約八千頭の小馬が生まれる。そのうち怪我もせずに育って走れるまでに何割かは消える。以後もレースに出て勝ち残って行くのはほんの少しで、残りは馬肉になる。競馬好きは絶対に馬刺しは食べないらしいが、さもありなんだ。 旭月川日 前乗りして、とりあえずラーメン屋に飛び込んで旭川ラーメンを食う。夜は向井氏の知りあいのライブハウス「JAZZ」が、休日なのに開店して迎えてくれる。ファンが続々集まって盛り上がり、向井氏早速ドラムを叩きまくる。やがてピアノに移り、ヤヒロ君のドラムと大セッション。最後は山下ピアノ、向井ベース、ヤヒロドラムで打ち上がり。正統バンドマン打ち上げ(といってもまだ本番前日だけど)を遂行。本番日の会場は大雪クリスタルホール。主催はアプローズの宮川さんが組織してくれた実行委員会。打ち上げはまたもや「JAZZ」。いやあ、皆元気だなあ。 札月幌日。先月札響とやったのと同じ札幌コンサートホールKitaraの小ホール。ピアノ選びはあの時に済ませてある。ピアノ庫に中ホール用だけで、スタインウエイ、ヤマハなどが5台ある。選んだのはやはり皆が選ぶ楽器だった。ピアノ弾きはその日暮らし。1ミリでも他より鳴る楽器を選ぶ。かくしてその楽器だけがますます輝き、選ばれない他の楽器は、ものすごい資質と才能を持ちながら倉庫の中で眠ったままだ。トレードに出してやりたいとつくづく思う。 本番無事終了。ピアニストの谷本聡子さんが来てくれる。もう18年も前になるが、ワインの取材でハンガリーのトカイ地方に行った時に、リスト音楽院の留学生だった彼女に助けてもらった。今はソリストで活躍中。ちょうどこの期間札幌で開催されている音楽祭の手伝いにも忙しいらしい。打ち上げは洒落たレストラン「ジャらんジャらん」で、主催のPatataの甲斐女史の音頭で大乾杯。 「CDジャーナル」2002年09月号掲載 |
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