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muji . 1999.07.17 .
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. 平成大音楽維新 !?

 6月もさまざまなところで、皆さまにお会いできました。
 ありがとうございました。

ダフ屋と大喧嘩

 ご機嫌うかがいに、まずは馬鹿ばかしいお話から。
 あれは事実か妄想か。
 先日、横浜球場に行き、内野自由席のチケットを買おうと売り場に行きかけたら、ダフ屋がちょんちょんと肩をつつくんですね。無視して売り場に進むとまたもやちょんちょん。見るといかにも軽薄そうなチンピラなんです。言った言葉が「おとうさん、買えよ」実に馬鹿にした言い方と、二度までのちょんちょんにかっとなりまして、「誰がお前なんかから買うか。あっちへ行ってろ」と怒鳴り返した。

 売り場で切符を手に入れていると、このチンピラ、柵の外から執念深く「なんだよう手めえ」とからんできた。そいつに買った切符をひらひらさせて「おれは買いたいものは自分で買うんだ。邪魔をするな、この馬鹿が」とわめいた。
 なにぶん夕方時分で、おなかが減っていて、怒りがおさまらないのがまずかった。いや、怒ったね、ダフ屋。半狂乱で三白眼をむいて、「てめえ、こっちへ来い。出てこいこの野郎。こっちへ来い」と完全なヤクザ口調。誰が行くものか。
 「誰が行くか。この馬鹿」
 それから売り場のおばちゃんにいきなり言った。
 「お巡りさんを呼んでくれ」
 おばちゃん目を見開いて固まっている。
 「早くお巡りを呼べ!このばばあ!」ともうキレっぱなし。
 「てめえ出てこい。なにびびってんだよう」とチンピラはようやくセリフを変えましたが、こっちも負けていない。
 「びびってんのはてめえだろう。今に見ていろ」と、怒鳴り返した。一般人の逆襲に慣れていないらしいチンピラは、マニュアルを失って、もう完全に泡を吹いて怒っている。
 やがてお巡りが二人走って来て、一人はチンピラ、一人は山下からその場で事情聴取をしました。こっちに分があるのは分かっているから、ことさら大げさに言ってやった。
 「ダフ屋を断ったら、逆に脅かされた。アイクチで刺すつもりだろう。この球場じゃあ、ダフ屋を断ると殺されるのか。おまえら何やってんだ。殺人未遂だ。死刑にしてくれ」
 よほど、初代大警視川路利良は知り合いだと言いそうになったが、言っても分からなそうな奴なので、それはこらえた。このお巡りは、もうダフ屋との共存共栄は既定事実とした上で、解決を計ろうとする。「相手はチンピラだから」などと人をなだめるのだ。馬鹿野郎、チンピラだからこういうことになるのだ。何をするか分かったもんじゃない。そういういい加減な態度をしていると、川路大警視に知れたら、おまえらも死刑だぞ。

 訴えるかどうかなど、ごちゃごちゃしたが、まあそのままということで、チンピラはどこかに連れていかれ、こちらはともかくも入場しました。
 しかし、その日の試合はベイスターズはヤクルトに完敗。ダブル情けないの日になりました。

教訓1・ダフ屋もバンドマン同様、日陰の稼業なんだから、やるならもっと芸や愛嬌がなきゃあいけません。この怒り、近親憎悪だったのかな。
教訓2・はらの減ったバンドマンは、結構キレますからご用心を。

イタコ幻想

20日のむつ市は初めてでした。熱心なジャズ者の皆さんとお会いし<BIG APPLE ONLINE>、同時に海上自衛隊の音楽隊とも共演するという貴重な体験でした。  かの恐山が間近にそそり立つ場所ということで、久々に、タモリのやるイタコの記憶がよみがえりました。ジョン・コルトレーンを呼び出して、今どこにいるかと聞くとタモリのイタコは苦しそうに「寒くて暗いところじゃ」と言うんですね。常套句で、誰を呼んでも同じことを言う。だんだん専門的なことを質問して「あの曲のあそこのコードはどうなっているんですか?」などと聞くと、イタコは非常に苦しがって「それを聞くなーー!」と身悶える。よほどの事情があるのだろうと、こちらもそれ以上は聞けないという寸法です。
 地元の方のお話では、近年、若い女の子のイタコがデビューして大変な評判だそうです。やはり時々スターがでる世界なんですね。もっとも「外国人を呼び出しても津軽弁を喋るというのが、いまいち腑に落ちない」というお言葉もありましたが、これは、それほど限りなく深い謎を秘めた世界なのだ、という論法で押し切ればよいわけであります。

海上自衛隊大湊音楽隊・音楽大維新の夢。

 共演する「ラプソディ・イン・ブルー」と「チェロキー」の練習のため、海上自衛隊大湊基地の中の練習場所へ行きました。指揮の河邊隊長に入口で敬礼で迎えられると、どうしてよいか分からない世界に来たという感じです。
 演奏はばっちりで、なんの心配もなし。「ラプソディ」は、小沢征邇=マーカス・ロバーツ版をヒントにしたアレンジがされているなど、意欲がみなぎっておりました。
 練習後、護衛艦「あきぐも」を見学。ここでも乗り降りの時に、甲板で敬礼をされます。だんだん図に乗ってきたのでしょう、その後のパーティではすっかり仲間のような気持ちになりました。
 おりしも、「宮廷楽団問題」は深く静かに潜航しておりまして、公けには全くどこも取り上げないのですが、ここでは市長さんをはじめ、隊員の方々も読んでくれていて、なにかと話題になりました。
 山下、自説を繰り返すうちにだんだんと妄想の世界に入ります。
 「どうやら、宮内庁は動揺しているようです。お上にまで伝わったという話もある。皇室と親しい音楽界の長老も味方になってくださっていて、色々とお話をしているところです。そのお力で、さまざまな方にお会いし、いずれは宮内庁に話しにいきます」
 だんだんとエスカレートして、気がつくとあらぬことを口走っている。 「もし、わけの分からぬ者どもが四の五のぬかしたら、すぐに連絡をするから、その時は、即、軍艦を1隻、江戸湾まで回してもらいたい」
 「しかとうけたまわった。ともに音楽に命をかける我ら、もとより異存はござらぬ。潜水艦も連れて行きましょう」
 かくして、平成大音楽維新の火ぶたが切って落とされることに.......
 いやはや、イタコの地の幻想はとどまるところを知らないようで..
 今月は「ドバラダ門」後遺症があちこちにあるなあ。

 1999年7月2日 記


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